バスケットと哲学
哲学と聞くと随分と堅苦しく聞こえるかも知れないけど
そんなに難しく考えなくて良い
少なくとも僕が話す「哲学」はね
スポーツは哲学に溢れている
…というか、難しい本を読まなくても
競技者の皆さんはプレー中、いつも哲学と遭遇している
もし皆さんが指導者をするならば、そういった概念を文書化して行く努力は必要だろうけどさ、別に自分で楽しむだけならそんな事はいらない
哲学は常に皆さんの傍にいる
ボールゲームの定番、アンチノミー(二律背反)とは
たとえばさ
まぁ、僕には元プロバスケット選手の知人が幾人かいるんだけど
ある日、その中の一人(A氏)が僕にこんな事を聞いてきた
「昔、俺はチームメイトのB氏にアリウープパスを出すときに、B氏のジャンプに併せてパスを出していた」
「しかしB氏は『俺はお前(A氏)のパスに併せてジャンプしている』と言って聞かない」
・Aさんのパスに併せてジャンプしていたと言って聞かないBさん
・Bさんのジャンプに併せてパスしていたと言って聞かないAさん
果たして、本当の事を言っているのはどちらでしょう?
正解は
二人とも正しいです
これは「第三のアンチノミー(二律背反)」と呼ばれる現象で
具体的に言うと、カントという哲学者が述べた世界4つあると言われる
「一方が真実なら、もう一方は誤りであるはずなのに」
「何故か両方とも真実となってしまう」という現象のうち
第三番目に相当する現象(普遍的な因果性に関する自由の問題)だと解釈して貰って良いと思われる。
我々はスポーツの力をもっと知るべき
だからAさんとBさんの議論は…まぁ議論したきゃ延々と議論すりゃ良いけど
(両方正しいから)たぶん永久に結論は出ない
※もし二人の議論に結論が出たら、彼らはカントを越えた哲学者と名乗っていい?!
またもし今後皆さんが
「カントの二律背反について」みたいな話題に直面したら
命題とか反命題とか、そんな難しい単語を調べる前に
「あぁ、アリウープパスの事か」と思い返して貰っていい
難しい言葉なんか知らなくても
哲学は常にスポーツマンの傍にいる
試合に勝つことも、高いパフォーマンスを発揮することも大切だが
スポーツの本当の力は、もっと別の所にあるんだ